銭湯と温泉の違いは「水」で決まる——法律の定義と、旅行者はどちらへ行くべきか

銭湯と温泉の違いは「水」で決まる——法律の定義と、旅行者はどちらへ行くべきか
chidorian / CC BY-SA 2.0

違いは規模でも料金でも雰囲気でもなく、水そのものだ。温泉法では、地中から湧出する時点で25℃以上あるか、定められた物質のいずれかを規定量以上含む水だけを「温泉」と呼べる。銭湯は公衆浴場であり、その多くは水道水を沸かしている。

この1点の法的事実が、料金に上限があるかどうかを含め、両者のほぼすべての違いを説明する。

法律上の「温泉」

温泉法(1948年制定)は温泉を、地中から湧出する温水・鉱水・水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、次のいずれかを満たすものと定義している。

  1. 源泉から採取されるときの温度が25℃以上である、または
  2. 定められた物質のうち1つ以上を、規定の量以上含む

2番目の一覧は具体的だ。溶存物質(ガス性のものを除く)1,000mg/kg以上、遊離二酸化炭素250mg/kg以上、リチウムイオン1mg/kg以上、総鉄イオン10mg/kg以上、メタけい酸50mg/kg以上、ラドンが規定値以上——といった項目が並ぶ。

ここから、多くの人が意外に思う2つの帰結が出る。

  • 冷たい温泉が法律上あり得る。 成分の条件を満たせば温度は問われない。その場合は加温して入る
  • 「温泉」であることは建物について何も語らない。 郊外のコンクリートの施設でも水が条件を満たせば温泉であり、築100年の美しい木造浴場でも水道水なら温泉ではない

さらに厳しい区分として 療養泉 がある。効能をうたう場合はこちらの基準が関わり、温泉の定義を満たしただけで効能を広告できるわけではない。

銭湯とは

銭湯は公衆浴場法の一般公衆浴場として営業する施設で、位置づけは日常の入浴の場だ。自宅に風呂を持たない世帯のための生活インフラとして発展した歴史がそのまま制度に残っている。

レジャーではなく生活基盤として扱われるため、入浴料の上限は都道府県ごとに定められている。銭湯の料金が安く、しかも同じ都道府県内でほぼ揃っているのはこのためだ。市場価格ではなく、規制された上限価格である。

湯は多くが水道水を沸かしたもの。ただし条件を満たす源泉を持つ銭湯もあり、その場合は銭湯であり温泉でもある(たいてい掲示してある)。

スーパー銭湯は第三のもの

スーパー銭湯は、複数の浴槽・サウナ・食事処・休憩スペースを備えた大型施設だ。法的にはたいてい一般公衆浴場ではなくその他の公衆浴場にあたるため、都道府県の料金上限が適用されない。入浴料が普通の銭湯の数倍になるのはこの区分の違いによる。

スーパー銭湯が温泉かどうかは、やはり水次第だ。

旅行者はどちらへ行くべきか

銭湯温泉
何で決まるか機能(一般公衆浴場)水(温泉法の基準)
多くは水道水を沸かす温度または成分の条件を満たす源泉
料金都道府県が上限を規定。安く、ほぼ一律自由価格。幅が大きい
場所住宅街・都市部条件を満たす源泉のある場所
向く目的日常の延長、歩き疲れた日の風呂、タイル絵と常連の空気湯そのもの、そして多くの場合は環境

東京に4日いるだけなら、正直なおすすめは銭湯だ。ほとんど費用がかからず、宿から徒歩数分にあり、そして日本人が火曜日の夜に実際に使っているのはこちらの文化である。温泉は、本物の源泉がある土地へ行く旅程のときに取っておけばいい。

作法は両方まったく同じ

法的区分がどうであれ、入り方は変わらない。男女別の脱衣所で全部脱ぎ、浴槽に入る前に座って使うシャワーで体を洗ってしっかり流し、小さいタオルは湯に入れず、脱衣所にスマホやカメラを持ち込まない。

日本の風呂が初めてなら、手順の詳細——施設ごとに異なるタトゥーの扱い(法律ではなく各施設のハウスルール)も含めて——は初めての温泉の作法にまとめてある。

よくある質問

銭湯と温泉の違いは何ですか?
温泉は水で定義されます。温泉法では源泉の温度が25℃以上、または定められた物質を規定量以上含む水だけが温泉です。銭湯は一般公衆浴場として営業する施設で、多くは水道水を沸かしており、入浴料の上限が都道府県ごとに定められています。
冷たい温泉はあり得ますか?
あり得ます。温泉法は25℃未満でも、指定された物質のいずれかを規定量以上含んでいれば温泉と認めています。その場合は加温してから入浴する形になります。
銭湯はなぜ安いのですか?
一般公衆浴場が日常の入浴インフラとして扱われ、入浴料の上限が都道府県ごとに規定されているためです。市場価格ではなく規制された上限価格なので、料金が安く、同じ都道府県内でほぼ一律になります。
スーパー銭湯は銭湯ですか?
法的にはたいてい一般公衆浴場ではなく「その他の公衆浴場」に分類されます。そのため都道府県の料金上限が適用されず、入浴料は普通の銭湯の数倍になります。温泉かどうかは水が条件を満たすかどうかで決まります。
MICHI 編集局
  • 日本文化体験 編集

日本文化の体験を一次検証し、作法とともに紹介。