箸使い以外の「日本の食事マナー」— 外国人が誤解しがちなポイント

結論から

日本の食事マナーは箸のルールだけではありません。食事の前に「いただきます」、後に「ごちそうさま」と言うこと、お酌は自分にではなく相手にすること、居酒屋のシェア料理は箸の逆側(または取り箸)を使うこと、そして寿司カウンターでは職人のペースに合わせ、注文をカスタマイズしないこと——これらはすべて堅苦しい形式ではなく、料理を作った人・共に食事をする人への「見える気配り」です。

「いただきます」「ごちそうさま」は単なる挨拶ではない

多くの旅行者は「いただきます」を食前の挨拶としてしか覚えませんが、実はこの言葉は「いただく」——何かを敬って頭上に掲げて受け取る、という古い動詞に由来します。つまり「いただきます」は、食事を単に「食べる」のではなく、慎んで「受け取る」ものとして捉える表現です。農家、漁師、料理人、そして仏教的な解釈(言葉の由来は約1,500年前に遡るとされる)では食材となった動植物そのものにまで、感謝を向ける言葉とされています。

食後の「ごちそうさま」は、「馳走(ちそう)」——文字通り「走り回る」という言葉に由来します。これは、客のために食材を集め食事を用意しようと奔走する様子を表しており、「ごちそうさまでした」は「美味しかった」というより「お手間をかけました」に近いニュアンスです。この2つの言葉は家庭でも、レストランでも(店を出る際にスタッフへ小さく言うこともあります)、一人で食事するときにも使われます。旅行者に義務付けられているわけではありませんが、使うことで単なる社交辞令以上に、温かく理解のある態度として受け止められます。

お酌は「相手のために」、自分にはしない

初めて日本を訪れる人が驚くポイントの一つが、共有のテーブルでは基本的に自分でお酒を注がないという習慣です。代わりに、お互いのグラスの残量に気を配り、目上の人や主賓から順に、自分より先に相手のグラスへ注ぐのが礼儀とされます。注いでもらう際は、グラスを軽く持ち上げるか、両手で持つのが一般的です。自分が注ぐ側のときは、瓶を両手で持ちます。全員のグラスが満たされるまで待ってから「乾杯」をするのが通例で、それより前に飲む(一口でも)のはせっかちな印象を与えます。

居酒屋のシェア料理 — 箸を返す習慣

居酒屋の食事は小皿をシェアすることが前提のため、基本的な箸マナーに加えた独自のルールがあります。共有皿から料理を取る際は、口をつけた側ではなく、清潔な太い側に箸を持ち替えて使うのが伝統的な作法です(「返し箸」)。ただし近年は取り箸や取り分け用スプーンが用意されていることも多く、あればそちらを使う方が望ましいとされます。親しい友人や家族の間ではそこまで厳密に守られませんが、同僚や初対面の相手との食事では、地元の人が見逃さない小さな心遣いです。

寿司カウンターは別のルールで動く

一般的な居酒屋や回転寿司ではなく、寿司専門店のカウンターに座ると、少し異なる作法が適用されます。通常のテーブルとは異なり、握り寿司は箸ではなく手で食べても構わない、むしろ伝統的とされる場面もあります。醤油をつける際は、ネタ側を軽く傾けて浸すのが基本で、シャリ側を浸すとタレを吸いすぎてしまい、慣れていない人の仕草と見なされがちです。多くのカウンターは高価な木材で作られ、職人と客が共有する作業台のような場でもあるため、鞄・スマートフォン・鋭利なアクセサリーなどをカウンターに直接置かないのが一般的な心遣いです。強い香水やコロンも、繊細な魚の香りを妨げるため控えめにするのが望ましいとされます。ネタの産地や旬について職人に尋ねるのは歓迎されますが、注文の変更や他店との比較を口にするのは避けたほうがよいでしょう——お任せとは、職人の選択に「委ねる」ことであり、「カスタマイズする」ことではありません。

初めての旅行者が実際に出会う場面

これらのマナーを多少間違えても、日本のホストが指摘してくることはまずありません——旅行者には概ね寛容です。ただ、こうした小さなサインに気づけるかどうかで、食事の体験そのものが変わってきます。居酒屋では、シェア料理に手をつける前に、周りが何をしているか少し観察してみましょう。寿司カウンターでは、職人のペースに任せ、一貫が出されたらすぐに、置いたままにせず食べるのがよいとされます。そして食事の始まりと終わりに、たとえ発音が完璧でなくても、小さく「いただきます」「ごちそうさま」と言えば、たいてい好意的に受け取られます。読むだけでなく実際に体験しながら身につけたいなら、東京の寿司作り体験大阪の寿司作り体験では、カウンター越しに職人がマナーの背景まで教えてくれます。別記事の箸の基本マナーと合わせて読むのもおすすめです。

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MICHI 道 編集部
  • 日本文化体験 編集

日本文化の体験を一次検証し、作法とともに紹介。